導入事例 株式会社サカブン様

確実な納期管理と30%に迫る生産効率の向上

独立系の金型メーカーで、特に高精度・超精密な金型で知られているサカブンの製造部門では、
生産効率の一層の向上や納期管理の徹底などを目指して、個別生産に対応した
生産スケジューラ/工程管理ソフトウエア「DIRECTOR6(ダイレクター6)」を導入、大きな効果を上げている。
バーコード入力によって作業の進捗状況をリアルタイムで管理し、
飛び込み品や設計変更なども含めて迅速かつ柔軟にスケジュールを変更、品質の確かさはもとより、
正確な納期の回答や厳守でも顧客の信頼を高めている。
同社では、新システムの効果を確認しつつ、中国の子会社への導入も計画中だ。

  • 坂井 亮 氏

    (株)サカブン
    代表取締役社長

    坂井 亮 氏

  • 植木 和利 氏

    (株)サカブン
    製造部・チーフリーダー

    植木 和利 氏

  • 斉藤 久美子 氏

    (株)サカブン
    製造部生産管理室

    斉藤 久美子 氏

勘と努力による生産管理に限界、顧客の信頼確保にもシステム化が必要

サカブンでは、10年ほど前に生産管理システムを導入したが、個別受注生産の典型とも言える金型製作の煩雑なスケジューリング管理や工程管理までシステム処理することはできず、実績集計機能などを利用するにとどまっていた。

スケジューリングは担当者が長年の"勘"を頼りに手作業で行い、進捗状況の把握は現場を見回るなどしてチェックしてきた。飛び込み品や設計変更などが発生するたびにスケジュールを組み直し、特急品などの場合には直接現場で作業の優先順位を指示して回るといった状況だった。また、作業負荷を勘で見積もっているため、工程間の作業ロスタイムも少なからず発生していた。さらに、飛び込み品や設計変更が相次いだときには、営業からの納期の問い合わせにも正確に答えることが難しかったという。

同社の坂井亮代表取締役社長は、「一品一品が異なり、工程や工数、作業負荷もそれぞれ違う金型製作の場合、勘と努力で対応できるのは月10型20型程度の規模まで。それを超えるとどうしても無理が生じます。月に新型、修正型合わせ100型以上が入る当社の場合、外注などを駆使して何とか対応してきましたが、手当が遅れてお客さまに迷惑をかける事態に直面することも一、二度ありました。お客さまの信頼が生命線の金型ビジネスですから、これは早急に解決する必要がありました」と語る。

同社では、納期管理の厳密化や生産効率の向上などを目指して、2006年ごろから新しい生産管理システムの導入に向けて検討を開始した。

個別受注生産に対応しているシステムはDIRECTOR6だけだった

旧システムのバージョンアップも含めて、ベンダー各社の生産管理システムを比較検討した結果、同社ではシムトップス社の「DIRECTOR6」の採用を決めた。その理由について、新システム導入を担当した同社製造部の植木和利チーフリーダーは、「まず、明確に金型などの個別受注生産に対応しているシステムがDIRECTOR6だけだったことが一番の理由です。また、スケジューリングから進捗管理、実績管理、原価管理まで一貫した機能を備えていたこと。他社の製品では機能を追加するために別途モジュールを導入しなければならず、コストがかさむことになります。さらに、DIRECTOR6は豊富な活用実績があり、特に著名な金型メーカーであるツバメックス社がバックアップしていることで安心感もありました」と語っている。

こうしたシステムは初めてという植木リーダーが特に便利と感じたのが、スケジューリング機能だという。これまで手作業で行ってきたスケジュール作成と頻繁に発生するその修正が実に容易にできる。作業の進捗状況を見ながら工程間のロスを最小化するような修正も簡単だ。もちろん、飛び込み品や設計変更もすばやく柔軟に対応可能だ。スケジューリングすると納期が自動的に出てくる。加えて、作業指示用の小日程スケジュール機能に加えて、受注検討もできる大中日程スケジュール機能も便利に使えるという。

また、実際の入力作業などを担当している製造部生産管理室の斉藤久美子氏は、DIRECTOR6の操作性の高さを評価している。「管理画面や入力画面を担当者の使い勝手良くカスタマイズできるのは便利です。個々の部品など入力する項目が多いので、スピーディーに入力処理できるのはありがたい」(斉藤氏)。

進捗のリアルタイム把握と柔軟なスケジュール調整で生産効率は大幅に向上

左:バーコード入力による作業の進捗管理
右:日程計画(スケジューリング)・工程計画用のクライアント端末

新システムは2008年の連休明けから本格スタートしている。同社では最初のステップとして製造工程に適用、設計図を元にした部品の発注から生産スケジュール作成、進捗、実績と納期までを一貫して管理するシステムだ。

現場に作業指示・進捗照会/実績入力用のクライアント端末を4台配置、実績データは作業指示票とバーコードによって入力する。現場の技術者は端末画面で作業の手順を確認し、各作業の着手から終了まで中断・再開も含めて1つ1つの作業ごとに端末からバーコード入力する。これによって、作業の進捗状況がリアルタイムで確認できる仕組みだ。技術者は前工程の進捗も画面上で参照できるので、次の作業の準備も遅滞なく取りかかれる。さらに、営業担当者も管理用クライアントで納期がいつになるかを確認できるという。

新システムではスケジュール修正が容易なことから、同社では前日の実績をベースにして朝に一度、午前の進捗状況を見て昼過ぎに一度と一日二回の調整を行っている。これにより、作業効率の向上・ロスタイムの最小化を実現している。「リアルタイムの進捗把握と柔軟なスケジュール変更などによって、作業効率は大幅にアップしています。当社としては新システムにより30%の生産性向上を目標に設定していますが、その目標は、ほぼ達成できていると思います」(植木リーダー)。

新システムの拡大を目指す

また、斉藤氏は「作業が立て込んでいる中で、追加の作業が発生したとき、シミュレーション機能を使って何をどうすればお客さまの希望する納期に間に合わせられるのか、あれこれ試してみられるのは役に立ちます」と語る。顧客の信頼を損なうような納期の遅れなどは皆無になっているという。

同社では、今後、原価管理機能の活用を開始する予定だ。また、効果を確認しつつ、製造工程だけでなく設計工程(CAD/CAMシステム)や仕上げ工程まで適用範囲を広げていくことを計画している。それによって、新システムの効果を一層拡大していくことを目指すという。さらに、同社では中国・上海工場への本システムの適用を構想している。坂井代表取締役社長は、「上海工場でも本社工場と同様の作業レベル、品質レベルを確保するというのが基本方針で、その意味でも本社工場で効果の上がったシステムは上海にも適用していく考えです。言語等々の対応も必要で、シムトップス社にも協力をお願いしたい」と語っている。

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個別受注・多品種少量生産特化した
生産スケジューラ工程管理システム
DIRECTOR6(ダイレクターシックス)

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